感動体験を世界中の人へ。WWO室ローカライズのブランドを確立し、さらなる領域拡大を目指す

海外の方々にゲームを楽しんでもらうために必要な、ローカライズ。言語翻訳をはじめ、リージョンごとの文化や法律への対応、デザイン修正など、様々な調整をおこなう業務です。ライトフライヤースタジオではリリース済みのタイトルが9言語・72カ国以上で展開されており、そのローカライズ業務を担うのがWWO(World Wide Operations)室です。

今回は、WWO室室長を務める三上にインタビュー。具体的な業務内容、ライトフライヤースタジオのローカライズの特徴や魅力について聞いた。

三上 翔
スタジオ本部 WorldWide Operations 室 室長

2013年、グリーグループに入社。プランナー、ディレクターを務め、2017年よりライトフライヤースタジオにジョイン。『ソードアート・オンライン -メモリー・デフラグ-』(配信元:バンダイナムコエンターテインメント)など、複数タイトルに携わる。2023年、WWO室でのローカライズ業務を主務とし、​​2024年より室長へ就任。

WWO室が支える、「新しい驚きを、世界中の人へ。」というビジョンの実現

── 三上さんはもともとプランナーやディレクターとしてキャリアをスタートさせています。なぜ、ローカライズ担当へとキャリアチェンジをしたのでしょうか?

三上きっかけは、『ヘブンバーンズレッド』(以下、『ヘブバン』)韓国語版/繁体字版のプロジェクトマネージャー(以下、PM)を任されたことでした。その中で、ローカライズ体制をよりよくすることにコミットしていきたいと感じたこともあり、そこからローカライズ業務メインへと仕事のバランスを変えることを決断しました。

── 何がその決断の決め手になったのでしょうか?

三上何より、弊社の手掛けるタイトルは、ローカライズの質を高めることで世界に届けていく価値があると強く思えたことです。
そのためにも、翻訳者のこだわりを、より社内に伝えていくことが重要なのではないかと感じました。私自身、プランナーとして海外展開中のタイトルに携わったこともありますが、実際にローカライズ業務に携わってみて、当時の自分の理解が甘かったと痛感しました。

翻訳については自動翻訳ツールを通せば簡単にできるというイメージをもつ人もいますが、そのようなことでは全くありません。WWO室の仲間たちは、機械翻訳では到達できないレベルで、様々な工夫をおこなっています。工夫のうちの一つが、スタイルガイドの作成です。スタイルガイドとは、タイトルの世界設定、キャラクターの設定や口調の特徴、翻訳の際の注意点などを細かく記載した資料のことで、言語毎に作成します。このスタイルガイドはノウハウの集積体でして、スタイルガイドに沿って翻訳と監修を行うことで、タイトル全体に統一感をもたせつつ、世界観をより深く細部まで表現できるようになっています。

▼社内で展開しているスタイルガイド

── 具体的な翻訳例を教えてください。

三上例えば『ヘブバン』の登場人物の一人である『水瀬 すもも』が、早口言葉を話すシーンがあります。このキャラクターは「にゃ」をつけて話すという癖があり、日本語版で「にゃまむぎにゃまごめにゃまにゃまご!」というセリフがありました。

それを繁体字に翻訳する際、そのまま直訳しても意味が伝わりづらく…語尾が「にゃ」であるということ以前に、そもそも日本の早口言葉「生麦、生米、生卵」が海外の方には伝わらないので、そのままだとセリフとして不自然になります。

チーム内でも検討した結果、最終的には「灰貓貓叫妙妙分分秒秒喵喵叫!」としました。意味は、「灰色の猫ちゃん『みょうみょう』、四六時中にゃにゃと鳴く」です。この文章は、意味が成立していることはもちろん、猫語が入っており、原文と同じ文字数であり、早口でしゃべると難しい、といったさまざまな条件を満たした翻訳になっています。

三上各言語担当のメンバーで協力しつつ、原文のニュアンスを活かした翻訳をおこなっており、その結果、海外のお客さまから高評価をいただいています。これまでライトフライヤースタジオが掲げる「新しい驚きを、世界中の人へ。」というビジョンを支えてくれているチームこそがWWO室であり、そのことをさらにしっかりと伝えたいと思いました。

目指すのは、それぞれの仲間がオーナーシップをもつチーム

── WWO室の業務内容について教えてください。

三上簡単に言えば、ライトフライヤースタジオでリリースするタイトルを、海外の方々でも楽しめるようにすることが私たちの役割です。メインは翻訳ですが、地域差のある規制への対応、海外倫理やレーティング観点からの懸念点の整理など、ローカライズに関する業務全般をおこないます。

── WWO室の中での役割分担を教えてください。

三上基本的には2つのポジションに分かれ、両ポジションが関わり合いながら仕事をしています。

1つ目は、翻訳者です。基本的に、各翻訳者は1つのタイトルを担当しますが、人によっては複数タイトルにまたがって翻訳業務をおこないます。加えて、リリース済みのタイトルだけでなく、開発中のタイトルの翻訳業務も担当してもらいます。

2つ目は、PMです。社内のゲーム開発を担っている複数の部署と連携をしながら、いつまでに、どの部分を、どれぐらいの量の翻訳をおこなうのか、計画立案から翻訳者側との調整までをおこないます。他にも、翻訳した言葉が既存デザインに収まらない場合、UI担当者と調整をしたり、新規タイトルの考案段階で、海外の法規制について監修をしたりと、幅広い業務をおこないます。

── 三上さんの業務内容について教えてください。

三上室長として、チームの仲間たちのマネジメントがメインで、そのうえでPM的な業務を担うことが多いです。他部署と連携しながらローカライズの計画を立て、体制づくり、効率化のための新規ツール導入など、チームのために必要な業務全般を担当しています。

── WWO室の運営にあたって、とくに気をつけていることがあれば教えてください。

三上大きく分けると2つあります。
まず1つ目は、仲間たちそれぞれに、オーナーシップをもってもらうことです。

私たちのチームがメインで担当する翻訳業務は、一つのタイトルをつくり上げる最終工程であり、それまでの工程が完成して初めて仕事が回ってきます。性質上、スムーズにプロジェクトが進められない理由として、「他の工程が遅れたから」と言い訳しやすいポジションでもあるわけです。

しかし私は、どのような状況であってもリリース日に間に合わせるのが、私たちの仕事だと考えています。場合によってはただ待つのではなく、「ここから手をつけはじめますね」「この日までにはいただけますか?」など、他部署と自主的に連携しなければなりません。タイトルのリリースを心待ちにしてくれている海外のお客さまのために、主体的に動くチームでありたいと思っています。

2つ目は、タイトルの開発・運用をおこなっている現場で何が起こっているのか、WWO室の仲間たちに伝えることです。

私自身が、もともと開発サイドにいた経験を活かし、イメージしにくい業務内容をなるべく細かく伝えるようにしています。相手の状況や考えが理解できないと、業務内容が正確にとらえられなかったり、場合によっては不満につながったりもするからです。理解不足からくる問題を避けるため、情報共有や、開発サイドとのミーティングは高頻度でおこなうようにしています。

頑張った分だけ報われる環境

── チームについて、メンバー構成と特色を教えてください。

三上現在は、翻訳者の所属するLocalizationチームが25名、PMに所属するProject Management チームが8名という構成です。加えて、兼務が中心ですが組織の課題を技術的に解決するOperation Optimizationチームが3名、地域差のある規制への対応、海外倫理やレーティング観点からの懸念点の整理などをおこなうGame Publishingチームが3名所属しています(2024年12月時点)。

翻訳者は全員が海外出身で、世界中から集まってくれています。みなさん、ゲームが好きなのはもちろん、日本のエンタメに対して関心が高く、漫画、音楽を趣味にしている方も多いです。様々なコンテンツをきっかけに日本に興味をもち、日本語を勉強したという方ばかりが在籍しています。

── WWO室で働く魅力について教えてください。

三上なんといっても、ライトフライヤースタジオのビジョン「新しい驚きを、世界中の人へ。」を体現するチームとして、手応えを感じながら働けることが魅力だと思います。とくに、ビジョンの後半にある「世界中の人へ。」という部分は、私たちがいないと実現できないことであり、誇りをもって働けます。

また、多くのタイトルに関われることも魅力の一つです。通常、タイトルの開発・運用を担当する場合、1つのタイトルに数年間携わります。

一方WWO室の場合、複数のタイトルにまたがって仕事をすることが多く、場合によってはライトフライヤースタジオ以外のグループ会社から依頼を受けることもあります。それだけ多くのチームと関わりながら、視野を広げ、スキルを磨ける環境は珍しいと思います。

最後に、WWO室に限らずライトフライヤースタジオ共通の魅力として、頑張ったぶんだけチャンスをもらえることも大きな魅力です。弊社の社長は新卒入社で、私の一つ上の先輩にあたるのですが、その例からも分かる通り、WWO室でも年齢や過去の経歴に縛られず、頑張ったぶんだけやりたいことができる環境だと思っています。

翻訳者として入社をした方が、PMになったケースもありますし、プランナー職へと移ったケースもあります。仲間の挑戦を後押しする文化が根付いているので、積極的にできることを増やしたい人にとっては良い環境なのではないでしょうか。

WWO室のブランド化で、ゲーム以外のローカライズも担える存在へ

── 今後の展望を教えてください。

三上WWO室は今でこそ、ライトフライヤースタジオが手掛けるゲームのローカライズをメインにしていますが、様々な仕事を積み重ね、「WWO室のローカライズ」というブランドを築き、社内に留まらずより多くの方からも頼られるチームを目指したいです。

ありがたいことに、現段階で海外のお客さまから多くの反響をいただけており、攻略サイトや口コミサイト、SNSなどで「品質が高い」「素晴らしい」といった投稿を目にします。そのような反響を冷静に受け止めつつ、WWO室の強みや魅力を整理し、ブランドの構築につなげていきたいです。

── どのような方が、ライトフライヤースタジオのローカライズ業務に向いているのでしょうか?

三上大前提としてゲーム好きであることは重要だと思います。日本のコンテンツが大好きで、自分たちの手で世界中に広めたいと思う方は、向いているのではないでしょうか。

翻訳に関していうと、日本のアニメやゲームに精通していたり、日本語のレベルが高い方はローカライズ業務に向いていると思います。ただ、多少できない翻訳があっても、必ず他のメンバーの確認や監修が入る仕組みになっているので、入社後にも学んでいただけるようになっています。とくに理解が難しい日本語や文化に関しては、タイトルごとに説明会を開催し、知識を補完する仕組みにもなっているので、安心して挑戦をしてほしいです。

── どのような方と一緒に働きたいか、教えてください。

三上自分の仕事にオーナーシップをもって向き合える人が良いなと思っています。自分の力で、「新しい驚きを、世界中の人へ。」を実現させたい方とは、ぜひ一緒に働きたいです。

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