エンジニアの指針「エンジニアリングスタンス」に込めた想いと、ゲーム体験への執念

2022年10月に実施した全社的な組織変更に伴い、「Studio本部 Technology Development部」から「開発本部」へと変貌を遂げたライトフライヤースタジオのエンジニア組織。

このような大きな変化に伴い、開発本部ではライトフライヤースタジオのエンジニアとしてのあるべき姿を明文化した、4つのエンジニアリングスタンスを掲げることとなりました。

CREATIVITY アイデアを絶やさず、面白さが生まれる瞬間を創る。
OWNERSHIP 届けたい価値に対して、やれることは全てやる。
PROFESSIONAL 最適解を追い求め、品質へのこだわりを持つ。
ENJOY & BE HAPPY 遊び心を大切にし、あらゆるシーンを楽しむ。

今回は、エンジニアリングスタンスの策定に関わった開発本部の本部長と副本部長に、策定の経緯、各エンジニアリングスタンスに込められた開発への想いを聞いてみました。

冨田 直哉
開発本部 本部長

SIerを経て、2011年に入社し、テックリード、サーバーエンジニアとして様々なタイトルに参画。Technology Development部副部長、Studio 2部の部長を担当した後、2022年10月より開発本部の本部長に就任。

紙谷 憲
開発本部 副本部長兼 開発本部 技術室 室長兼 Human Resources & General Affairs 部 副部長

2013年に入社。課金・認証基盤の開発・運用に従事し、その後CS・QAなど管理系部門のマネジメントや海外展開の推進を担当。2019年よりエンジニアリング部門の責任者を務め、2022年10月に開発本部の副本部長へ。

エンジニア組織のさらなる強化を目指し、価値観の明文化へ

── エンジニアリングスタンス策定に至った背景を教えてください。

冨田 直哉(以下、冨田)きっかけは2022年10月1日の全社的な組織変更にあります。エンジニア組織はこれまでStudio本部の中に紐づく形でTechnology Development「部」としていたのですが、これを開発「本部」へと変更する。

このタイミングで、これまで以上に強固な組織を目指すために、ライトフライヤースタジオのエンジニアならではの文化や価値観を改めて定め、みんなで意識していきたいと思いました。

もちろん会社にはVALUEである3R(RESPECT、REFLECT、RETRY)が浸透していますが、一方で解釈の幅も広い。組織として、よりエンジニアに特化したものを用意する目的でエンジニアリングスタンスの策定を発案しました。

紙谷 憲(以下、紙谷)Technology Development部のときから、ゲーム開発におけるエンジニアとしての役割を意識することは当然ありました。しかしそれをあえて「ライトフライヤースタジオならではのエンジニア像」として言語化することで、社内のエンジニアに対して「こういうエンジニアになってほしい」「こういう仲間と働いていきたい」といった内容を改めて打ち出したい想いもあったんですよね。

また採用のメッセージとして、社外からのライトフライヤースタジオのエンジニアに対する解像度を上げたいとも考えていました。

合宿は3回。表現にまでこだわり抜いたメッセージが完成

── エンジニアリングスタンス策定までの過程を教えてください。

紙谷2022年9月の上旬から、シニアマネージャー以上のメンバー10名による合宿を通じて決めました。そこでは例えば「ゲームが好きである」「事実を探究する」といった、ライトフライヤースタジオのエンジニアのあるべき姿を各人が10個ずつ付箋に書いて発表しました。

集まった要素をグルーピングし、最終的に残った4つの要素がエンジニアリングスタンスとなったのです。

── 最終形に至るまでに苦労したことを教えてください。

紙谷グルーピングしたときに要素が10個ほどにまとまったのですが、それをさらに絞る作業に苦労しました。議論の過程では、グルーピングした2つの要素を抱き合わせた言葉を考えるなど、あらゆるかたちを模索しましたね。

冨田そうでしたね。みんな、大事にする部分は似ているんです。でも選ぶ言葉のニュアンスや、特に重視する要素が微妙に異なる。

例えば自分は「OWNERSHIP」をぜひ入れたいと思っていて、紙谷さんはTechnology Development部の時代から品質面を担っていたので、特に「PROFESSIONAL」に強い想いがありました。各人の気持ちをまとめるために、合宿も3回ほど実施し、その後も普段の業務の中で時間を取って話し合いながら進めたんです。

── ワーディングも社内で議論したのでしょうか?

紙谷はい、すべて内製です。日本語と英語どちらで表現するかも話し合い、最終的には心に響きやすい点、見た瞬間に与える印象なども踏まえて今のかたちになりました。

ある程度言葉がまとまってからは、予定していたフォントで4つを並べても違和感がないか、まとまり感があるかを全員で確認しながら推敲を重ねていきました。

冨田エンジニアのレビュー文化のおかげかもしれませんが、全員が言葉のチョイスや温度感、句読点までもこだわって考え抜きましたよね。

最終的に、もともと目指していた組織変更発表日にお披露目できたので良かったです。1カ月弱ですべてを決められた達成感もあり、みんなで労い合った記憶もあります(笑)。

エンジニアリングスタンスの真意を紐解く

── 改めて、エンジニアリングスタンスのそれぞれの意味を教えてください。

CREATIVITY アイデアを絶やさず、面白さが生まれる瞬間を創る。

冨田ゲームというエンターテインメントをつくっている意識を常に忘れないようにするための言葉です。私たちは面白いゲームをつくり、みなさんに新しい驚きを届けることがゴールなので、周囲から言われたことや、その技術を定説通り適用すれば良いわけではありません。

目指すゲーム体験のために、アイディアを絶やさずにクリエイティビティを存分に発揮してほしいという想いを込めました。

紙谷そのために、ときには技術的な常識を壊しても良いと思っています。既存の資産を組み合わせて、面白い、濃いゲーム体験を届けるための仕組みをつくる部分をクリエイティビティとしているからです。

もちろんエンジニアとして品質やコストを最低限保証する必要はありますが、そういった調整も乗り越えて、最高のユーザー体験を実現するためのアウトプットを考える。ゲーム制作に関わるエンジニアにとっては大事な要素だと思います。

OWNERSHIP 届けたい価値に対して、やれることは全てやる。

冨田ライトフライヤースタジオのエンジニアたるもの、目標のために必要なことなら自分の業務領域を線引きせずに取り組んでほしい。「OWNERSHIP」にはそうした想いを込めています。

紙谷例えば業務のなかで、ボールがどこかで落ちてしまったら誰かが拾わなければなりません。

そのボールがエンジニアリングとは関係ないものだとしても「スケジュールは大丈夫ですか」「今どんな状況ですか」と入り込んでほしい。面白いゲームづくりに必要なことを、自分ごと化する意識でやり切ってほしいですし、もちろん部長レイヤーである私たちもそうあるべきだと。

冨田ただ、ライトフライヤースタジオのエンジニアは既にこの姿勢を体現できている人ばかりですよね。今回は明文化により、私たちの意識を改めて宣言したかたちです。そして今後も、難しい局面があったときに「OWNERSHIP」を思い出して、一歩前進できる組織でありたいですね。

PROFESSIONAL 最適解を追い求め、品質へのこだわりを持つ。

紙谷エンジニアは、品質を担保する最後の砦だと思っています。
「当たり前品質」(当たり前に満たす必要がある品質)と「魅力的品質」(ユーザーの満足度向上につながる品質)という言葉を借りると、エンジニアとして「当たり前品質」を満たす責任はもちろん必要です。

加えてエンターテインメント性も重視されるゲームでは、面白さに関わる「魅力的品質」の向上が必要不可欠です。もちろん、時間をかければかけるほど「魅力的品質」は上げられますが、一方でコストや時間には限りがある。

そこで、ゴールをプランナーと相談しながら「魅力的品質」実現のためのエンジニアとしての落とし所を見つけ、短時間で最大限のアウトプットに持っていく。こういった意図もあり「最適解を追い求め」という日本語表現を入れています。

冨田さらに「魅力的品質」を追い求めるには技術力も欠かせませんよね。
品質にこだわり、プロジェクトごとのスケジュールや予算に合わせた提案をするための専門性を、日々の勉強を絶やさず身に付けてほしいという想いも込められています。

ENJOY & BE HAPPY 遊び心を大切にし、あらゆるシーンを楽しむ。

冨田仕事には辛いこともありますが「どうせやるんだったら目一杯楽しもう!」というメッセージです。
ゲーム開発で大事な要素はいくつもありますが、結局この意識が一番大事だと思うんです。策定に関わったメンバー全員が「エンジニアリングスタンスに入れるべきだ」と主張していました。

紙谷エンタメ業界の一翼を担う身として、つくり手の自分が楽しめなかったら、ゲームで人を楽しませられるわけがないと思うんです。

自分の立ち振る舞いが周囲に与える影響も踏まえて、エンジニアとして楽しんでほしいし、自分のつくったものでまわりを幸せにしてほしいですね。

仲間を増やし、開発本部の指針を広めるために

── エンジニアリングスタンス策定を振り返り、改めて今の心境を教えてください。

冨田エンジニアリングスタンスは、私たちが無から勝手に考えてつくり出したものではありません。ライトフライヤースタジオのエンジニアが、今まで暗黙の内に大事にしていたことや、私たちの特徴を抽出して文章化したものです。

私としては、このメッセージに近しい考えを持つ人、共感できる人に仲間になってほしいです。

紙谷みんなで議論したおかげで、納得性の高いエンジニアリングスタンスが完成しました。このメッセージを見て、ライトフライヤースタジオのエンジニアへの理解が深まれば嬉しいです。

そして、こんな意識を持つ組織だったら楽しく働けるんじゃないか、成長できるんじゃないかと感じてくれる人と働きたいですね。

── 最後に、エンジニアリングスタンスを浸透させるために実施していること、今後の構想を教えてください。

冨田すでに社内に浸透しきっている3Rのように、意識的にこの言葉を使っていくことが大事だと思います。

結果を出し活躍しているメンバーは、必ずエンジニアリングスタンスを体現しているので「この仕事は、エンジニアリングスタンスの『OWENERSHIP』を体現している」などと、MVPの表彰でも少しずつ使いはじめたところです。こういった動きを増やしながら、組織への浸透を進めていく予定です。

紙谷定例資料の目に付くところにエンジニアリングスタンスを記載したり、頭文字を取って「EPOCH(エポック)」と読んで親しみやすくしてみたり、他の構想もいくつか動かしつつあります。

紙谷また私はエンジニアだけでなく、会社全体の採用ブランディング周りの人事業務も兼務しているので、人事のみなさんとも社内外へのメッセージの伝え方を考えていきたいですね。

冨田エンジニアリングスタンスが浸透すれば、普段の業務でも「それって『CREATIVITY』の体現だよね」といった会話がされるようになるはずです。判断が必要な場面でも、エンジニアリングを指針にする機会が増えると期待しています。

このように、エンジニアリングスタンスを広めるための働きかけを積極的におこないながら、ゲーム制作に注力していきたいと思います。

ライトフライヤースタジオでは一緒に働く仲間を募集しています

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