キャラクターを彩り、ゲームの見栄えを左右するVFXアーティスト。密な連携が、心震える体験を生む
ゲームに特殊効果(エフェクト)を取り入れるVFXアーティスト。世界観を強化し、ときに分かりやすくすることで、ユーザーの没入感を高める。とくにライトフライヤースタジオでは誰も見たことのない世界を表現することが多く、VFXアーティストの果たす役割は大きい。
そんなVFXアーティストを務める鎌田に、入社理由、業務内容、ライトフライヤースタジオの特徴について聞いた。
映像制作会社に、10年以上勤務。エフェクトセクションリードとして、アニメーションやCM制作におけるエフェクトデザインを手がける。2017年にゲーム制作会社へ入社。2022年7月にライトフライヤースタジオにジョインし、『ヘブンバーンズレッド』や、新規タイトルのエフェクト制作に携わる。
憧れのゲーム業界へ挑戦、活かされた映像制作の経験
── 鎌田さんは映像制作会社に10年以上勤め、要職も任されていました。そのようななか、まったく新しい業界へチャレンジした理由を教えてください。
鎌田以前からゲーム業界への憧れがあったからです。
私はもともと映像コンテンツが好きで、学生時代から制作に携わり、その流れで学校卒業後も映像制作会社に勤めました。映像に限らず音楽やゲームなど幅広いコンテンツが好きで、なかでもゲームは、昔から大好きでした。映像、音楽と多くの要素が絡み合う総合的なコンテンツがゲームであり、お客さまが自らの体験を通して物語を構築できる「インタラクティブ性」が他のコンテンツとは違う大きな魅力です。
映像制作をはじめて10年が経ち、自分にとって一つの節目を迎え、「そろそろ新しい挑戦がしたい」と思うようになりました。そこで、以前から憧れていたゲーム制作の道へ、思い切って進む決断をしました。
── まったく違う業界への挑戦に不安はなかったのでしょうか?
鎌田ありました。
映像業界とゲーム業界とでは、文化も仕事の進め方も異なります。これまで培ってきたスキルがどこまで通用するのか、不安でした。それでも、家族や周囲からの後押しを受け、新しく学びなおす覚悟で転職に踏み切りました。
── 実際に転職してみて、映像制作とゲーム制作とでは、まったく違いますか?
鎌田そうですね。映像制作の場合、データがどのようになっていてもレンダリング(データの書き出し)をしてしまえば問題ないですが、ゲーム制作の場合、お客さまのプレイ内容に合わせてインタラクティブにエフェクトが再生されるプログラムを組む必要があります。
例えば、プレイヤーのボタン操作によってエフェクトが発生する場合、ボタン連打によってエフェクトが重なり過ぎて、色が飛んでしまったり、処理負荷がかかり過ぎたりすることがあります。
そのようなときは、プランナーに想定する連打の頻度を確認したり、エンジニアに負荷のかからない環境設計の相談をしたりして、「これ以上のボタン連打が入ったときはエフェクトを省略する」といった対応を入れます。
また、映像制作との違いとして、エフェクトが再生されるシチュエーションが一貫しておらず、同じエフェクトでも見栄えが変わることが挙げられます。
背景が明るいか暗いかで、同じ光線のエフェクトでも発光具合が変わります。また、プレイヤー操作によってモーションの動作が途中でキャンセルされた場合のエフェクトについても考えなければなりません。背景、ライティング、モーション、その他のプロフェッショナルな仲間との協力が必要で、一つのエフェクトを完成させる工程で、連携する仲間は多いです。
一方、映像制作とゲーム制作には共通点も大きいです。
とくに、エフェクトについての「レイアウトの心地よさ」「緩急の気持ちよさ」などのフィジカルな感覚は、映像制作の経験がそのまま応用できています。おかげで、業界が変わっても大きくつまずくことはなく、スムーズに仕事が進められています。
リスペクトのある環境で、「ここでなら、うまくやっていけそう」
── 鎌田さんはゲーム制作会社に入社し、その後、ライトフライヤースタジオへとジョインしています。なぜ、転職したのか教えてください。
鎌田オリジナルIPの開発に携わるためです。
前職では基本的に、運用中のタイトルやそのシリーズでのエフェクトデザインを任されることが多かったです。やりがいのある職場ではありましたが、まったく新しいタイトルをゼロからつくる経験がしたいという想いが強くなり、仕事が一区切りついたタイミングで転職活動をはじめました。ちょうど同じころ、ライトフライヤースタジオでオリジナルIPの開発が進行中であることを知り、入社を検討するようになりました。
最終的に、入社の決め手になったのは社員や役員の方々との面談の雰囲気でした。どの面談も他社と違って、非常にリラックスした雰囲気で進み、真顔で話している時間の方が少なかったと思います。内容は真剣ですが、どの人も相手に対する配慮やリスペクトをもって話していて、良い雰囲気がつくられていました。「この会社なら、うまくやっていけそうだ」と思い、入社を決めました。
── 実際に入ってみて、印象は変わりましたか?
鎌田まったく変わらないです。ライトフライヤースタジオには「3R」と呼ばれるカルチャーが根付いており、誰もが互いに対する「RESPECT」をもって接しています。
▼ライトフライヤースタジオで大事にしている、3つの要素から成り立つVALUE
鎌田私が関わることの多い『ヘブンバーンズレッド(以下『ヘブバン』)』の仲間たちは、役職や社歴に関係なく「こうすればもっと面白くなる」と意見交換を活発におこないます。懸念や疑問が出た際は、納得するまで話し合うことが当たり前で、お互いが真摯に向き合う文化があると感じています。
アイデア出しから携わり、意味を理解して進めるエフェクトづくり
── VFXアーティストの仕事の流れについて教えてください。
鎌田例えば『ヘブバン』のキャラクターのスキル制作の場合、まずプランナーのアイデアをもとに、演出ディレクターが演出のプランを作成します。その後、作成された演出プランがミーティングによって関係者に共有されるのです。このミーティングには、VFXアーティストやアニメーターなど実装に直接関わる仲間だけでなく、新しい実装内容にアイデアを出したい人なら誰でも参加可能です。
次に、ミーティングで提案された意見をもとに、演出ディレクターが絵コンテを作成します。モーションの大まかな動きが決まったタイミングで、VFXアーティストによる本格的なデザインの実装がスタートします。
エフェクト制作時、VFXアーティストは、演出ディレクター、アニメーター、キャラモデラー、背景モデラーなど、多くのスタッフと連携をとりながら作業を進めます。制作期間はおおよそ3週間と比較的短いですが、事前に打ち合わせを重ね、スキルの意味や必要な演出の意図まで把握した状態で進められるので、無理なく進行可能です。
── 鎌田さんの具体的な業務内容を教えてください。
鎌田現在は『ヘブバン』の運用と、新規タイトルの開発をメインで担当しています。
また、横断組織である「コンセプトアート室」にも参加しています。主な活動内容は、デザインの方向性についての意見交換や、最新のゲーム業界の動向についてのシェアなどです。そこで生まれたアイデアが実務に活かされることもよくあり、通常業務とのシナジーも大きい取り組みです。
プロフェッショナルが密に連携し、一丸となってタイトルづくりに挑む
── ライトフライヤースタジオの制作環境の特徴について教えてください。
鎌田繰り返しですが、あらゆるポジションの仲間たちが密に連携し、アイデアを出し合いながら一つの作品をつくり上げるスタイルは、特徴的な部分だと思います。
制作会社によっては分業が進み、各職種がプランナーからの依頼通りに作業を進めるところも多いです。しかしライトフライヤースタジオでは、あらゆる職種が企画から携われ、自分のアイデアが採用されることもよくあります。
例えば、『ヘブバン』のキャラクターの一人命 吹雪の、とあるスキルエフェクト制作に携わったときのことです。もともと「イバラが相手にまとわりつく」というモーションの想定でしたが、キャラクターの性格を考えたとき、より荒々しいエフェクトが似合うのではと思い「イバラが相手の体に入り込み、爆発する」というエフェクトを私から提案しました。そのアイデアは採用され、そのまま実装へと至ったのです。
▼命 吹雪のEXスキル「破滅でおやすみ」のスキル演出。
(飛ばした斬撃が敵の体内に入り込み、内側から茨として飛び出てきます)
── VFXアーティストとして、こだわっていることがあれば教えてください。
鎌田サウンドをつける前から「音が感じられるエフェクト」をつくることです。
例えば、敵に攻撃が当たったときのヒットエフェクトの場合、視覚情報しかなくても「スパッ」「グサッ」「ザシュ」など、なんとなく音が感じられるエフェクトをつくるのです。ぴったりのエフェクトがつけられればそれだけ、お客さまの「気持ちよさ」につながると考えています。アニメーション出身のデザイナーには、同じような感覚をもっている人も多いのではないでしょうか。
新規タイトルの立ち上げを経て、VFXアーティストとしてのスキルを深める
── 今後、チャレンジしたいことがあれば教えてください。
鎌田今まさに、念願だった新規タイトルの開発に携わっているところなので、まずはこの挑戦を成功に導きたいです。すでに多くの方々に遊んでもらっているタイトルに携わるのとは、また違うやりがいを感じ、貴重な経験ができています。
さらにその先は、VFXアーティストとしてのスキルを深め、作品全体や演出全体の方向性を決める、ディレクション業務も担えるようになりたいです。作品全体を俯瞰してとらえ、さらにレベルの高いクリエイティブを追求していきたいです。
── どのような人が、ライトフライヤースタジオのVFXアーティストに向いていると思いますか?
鎌田ライトフライヤースタジオのカルチャー「3R」に共感できる方であれば、気持ちよく働ける会社だと思います。また、自分から行動する人にはチャンスが与えられる会社のため、何か挑戦したいことがある方にも、やりがいをもって仕事に臨める環境だと思います。
── どのような人と一緒に働きたいですか?
鎌田ユニークなバックグラウンドをもつ人と働きたいです。ライトフライヤースタジオにはすでに、幅広い人材が集まっています。私自身も映像制作出身で、だからこそ備わっているスキルや経験も多くあります。自分とはまったく違う視点をもつ人と一緒に働き、その視点を取り入れながら、心震える体験づくりへの挑戦を続けたいです。