ライトフライヤースタジオの「演出プランナー」とは?スクリプターを越えた、幅広い業務の実態に迫る

​​ゲームシナリオを元にキャラクターの表情、背景、セリフを組み合わせ、ゲームシーンをつくり上げる「スクリプター」。ライトフライヤースタジオでは、その業務内容をさらに拡張し、お客さまに感動を届けるポジションとして「演出プランナー」を設けています。
一般的なスクリプターとは何が違うのか。ライトフライヤースタジオ × Keyが贈るドラマチックRPG『ヘブンバーンズレッド』(以下、『ヘブバン』)の演出プランナー2名に、詳しい業務内容やそのやりがいについて聞いてみました。

岩見 祐哉
スタジオ本部 第2スタジオ部 Game Design 1 グループ Game Design 3 チーム

2011年にグリーグループに入社し、Publishing業務に従事。GREEブラウザゲーム『SAOエンドワールド』『乃木恋』などのコンサルや、新規事業のアライアンス業務をおこなう。2018年よりライトフライヤースタジオにて、『ダンまち〜メモリア・フレーゼ〜』『ヘブンバーンズレッド』のリード演出プランナーとしてイベント実装をおこなう。現在ではイベント実装もしつつ、チームに在籍している演出プランナー25名以上の演出ディレクションも行っている。

齋藤 壮志
スタジオ本部 第2スタジオ部 Game Design 1 グループ Game Design 3 チーム

コンソールゲームの開発にてシナリオの一部執筆と演出スクリプトを2年ほど担当。2021年2月からライトフライヤースタジオにて『ヘブンバーンズレッド』の演出プランナー業務を担当。現在では引き続き演出プランナーを担当しながら、他メンバーの実装補助やエンジニアとのツール周りの連携もおこなう。

スクリプターよりプランナーに近い「演出プランナー」というポジション

── まずは、お2人の具体的な業務内容を教えてください。

齋藤基本的には、シナリオをどう魅力的な形にしてゲームに落とし込むかを考え、実現していくことが私達の役割です。セリフに表情をつける、3Dモデルを動かす、BGMやボイスを入れるなど、業務内容は多岐に渡ります。加えて、マップ上のどこに誰がいて、誰に話しかけると会話が発生する、といったシナリオ進行の実装も一部担っています。さらに私の場合は他セクションのスクリプト実装に関する技術的サポートも担当しているかたちです。

岩見私も齋藤さんと業務内容はほぼ同じです。加えて、リード演出プランナーという役職を任されており、25名以上が在籍するチームの取りまとめや、組織づくり、教育体制構築に関する業務も担っています。

── 一般的に「スクリプター」と呼ばれることも多い職種です。なぜ、ライトフライヤースタジオでは「演出プランナー」という名前なのでしょうか?

齋藤「実装担当者」よりは「プランナー」に近い業務を任されるからです。
決まった仕様を再現する能力ももちろん必要ですが、ゲーム全体を見ながら、効果的な演出を考える能力も同時に求められるのが演出プランナーです。場合によっては、私達の方から他部署の仲間に、「こういう素材がほしい」「こういう表情差分があると、より良い体験がつくれる」と提案をさせてもらうこともあります。

── 齋藤さんは、他社でスクリプターを務めた経験もあります。具体的な業務内容や考え方で、違いを感じる部分はありますか?

齋藤やはり、求められている役割が違うと感じます。
前職では基本的に、もらったシナリオをスクリプトに落とし込むことがメインの仕事でした。自分のこだわりを演出に乗せることもできましたが、その場合は、ディレクターやアートからフィードバックをもらい、その通りに修正する流れでした。とくに自分のアイデアについて議論をする場はなく、とにかく実装力が求められていました。
ライトフライヤースタジオの場合は、議論の場が用意されており、違う部署の仲間たちに「こうしたい」と自分の考えを伝えられます。そのうえで、お互いの意図を理解しながら、より良いものをつくれます。どう魅力的に演出していくかのビジョンを持つ必要がありますが、やりがいがありますね。

感動を生み出すため、「拡張性」と「自由度」を確保

── ライトフライヤースタジオの演出プランナーは、同職種では珍しくスクリプト言語「Lua」を使っています。なぜなのでしょうか?

岩見一番の目的は、演出の拡張性と自由度を担保することです。
私達は日々、ゲームを通して、お客さまを感動させたいと考えています。言うのは簡単ですが、実現させることは難易度が高く、よく見かける演出では心を揺さぶることは難しいと考えています。ゲームの魅力を最大限に感じてもらうには、相手の期待を越える必要があります。
そう考えたとき、「もっとこうすれば良くなるのに」というアイデアを実現しやすい、拡張性や自由度が担保されていることは非常に重要です。その点Luaは、習得難易度が高いですが、2Dでも3Dでも実現できる演出の幅が広く、私達の思想にマッチしたツールです。
例えば、齋藤さんが手がけたストーリーイベント「進めちびっ子大作戦U140」のなかでは、レーザーを避けながら進むミニゲーム的な要素が盛り込まれています。これはほとんどLuaでつくられています。

▼実際の「進めちびっ子大作戦U140」のプレイ画面。タイミングを見計らい、タップしながらレーザーを避けるミニゲーム

齋藤トライアンドエラーのサイクルをスピーディーに回せることも、Luaを使うメリットの一つだと思います。
他言語の場合、比較的手軽に組める反面、どうしてもエンジニアさんに頼らなければいけない部分が出てきます。関わる部署が増えるとそれだけ、一回の試行錯誤に時間がかかりますが、Luaであれば、自分たちだけで高度な演出の実装も完結でき、そのぶん挑戦の数を増やせるのです。
また、Luaを書くという形で普段からコーディングに慣れ親しんでいるメンバーが多いことで、新規実装が必要なときのエンジニアさんとのコミュニケーションも円滑に進められているのかなと思います。

── Lua以外にも、ライトフライヤースタジオの演出プランナーならではの特徴があれば、教えてください。

岩見どれを言えば良いか迷うくらい、たくさんありますね。笑
例えば2D・3Dアートの両方にこだわっていることは特徴の一つです。どちらか一方に偏らず、どちらのクオリティにもこだわっているからこそ、両方の演出技法が蓄積され、日々レベルアップが図れています。
分かりやすいところで言えば、2Dの場合「キャラクターの目線の動き」はこだわっているポイントの一つです。複数のキャラクターが横並びで喋っているシーンでは、喋っているキャラクターに別のキャラクターが目線を向けるようにしています。目線の動きまで実装しているゲームは少ないと考えていますが、私達は「お互いが喋っている感」を演出したい場面では意識的に実装しています。
3Dの場合だと、各キャラクターの「歩き出すタイミング」は分かりやすいポイントです。複数のキャラクターが一緒に歩き出す場合、全員が同じタイミングだと軍隊のように見え、違和感があります。そこで、それぞれのキャラクターごとにタイミングをずらし、自然に見えるようにしているのです。3Dは2Dと比べて現実に近いぶん、リアリティの追求にはこだわっています。違和感があると、物語に没入できず、それだけ感動体験から離れてしまうからです。

不正解ver.


歩き方が同じパターン。全キャラが同じ動きで、軍隊のような不自然さが出る

正解ver.


歩き方をバラバラにしたパターン。それぞれのキャラが微妙に異なる動きをしており、自然に見える

岩見他にも、フルボイス対応や効果的なカットイン演出など、没入感のある感動的な演出を実現するために、細かい部分までこだわっています。
今後も『ヘブバン』らしい演出を追求できるようにしていきたいです。

プログラマー的な考え方やスキルも身につく環境

── 演出プランナーとして、どのようなことにやりがいを感じるのか教えてください。

齋藤大前提として、最高峰のシナリオを実装できるところは大きな魅力だと思います。
とくに『ヘブバン』の場合、業界の第一人者である「Key」さんと共同で制作している作品です。毎回上がってくる素晴らしいシナリオの演出を手掛けることができるというだけで、魅力的に感じる人も多いのではないでしょうか。

岩見同感です。私の場合は、任せてもらえる範囲が大きいところも大きな魅力の一つだと思います。BGM設定のような細かい部分から、ミニゲーム導入といった大掛かりな仕掛けづくりまで、演出プランナーから提案し、実装まで担当できるのです。
ただ、できることが多いからこそ、自己満足で終わらないよう、レビューの機会を多く設けています。客観的に見てイマイチな内容には、仲間からのフィードバックが容赦なく入りますし、シナリオの意図が充分に表現できているかどうかKeyさんにも見ていただくフローを作っています。決して楽な環境ではありませんが、そのぶん多くの目線でのレビューをもらえることで、成長できる環境でもあると考えています。

── 成長できるとのことですが、具体的にはどのような能力が身につくのでしょうか?

岩見実装作業を経験することで、現場で何が起きているのかが分かるようになるため、品質管理やディレクション、進行管理といった、さらに上流の仕事にも挑戦しやすくなると思います。
また、副次的にではありますがプログラムに関する知識や考え方も身につきます。プログラム処理の基礎的な流れ、if文を使った条件分岐、フラグ管理の基本的な考え方が理解できるようになり、スクリプトを扱うだけでは触れない範囲まで学べるのではないでしょうか。

齋藤私も幅広いスキルや知見が学べる環境だと感じています。
また、幅広い選択肢のなかから、自分の得意分野に絞って伸ばすことも可能です。例えば演出ですと、一枚絵を使った演出や、動きのある3Dアクションシーンを作成することに長けた方がいらっしゃいます。演出以外の分野では、汎用的なスクリプトコマンドを作成してチームの生産性を上げたり、月次イベントに携わる演出プランナーチームのリードをお願いしている方もいます。
自分の進みたい方向性を見つけ、その分野のプロフェッショナルになり、さらに次のキャリアを切り拓くこともできる環境が整っていると思います。

新しい演出スキルを身につけたい人にこそ、おすすめ

── 今後の展望について教えてください。

齋藤直近は、自由度の高いスクリプト言語Luaを、さらに使いこなせるようになることが目標です。演出に留まらず、先ほど例に上がったミニゲームのように、まだ誰もやっていない挑戦を続けられればと思っています。Luaで、もっと遊びたいです。

岩見私も、挑戦を続けたい気持ちは同じです。常に目の前のシナリオを、最高にしたいと考えて仕事をしています。
そのためにも、今任されている組織づくりに、しっかり力を入れていきたいです。イメージしているのは、常に天才が生まれ続ける制作現場です。最低限の基礎は身につけながらも、これだけは誰にも負けない、という長所をもつ人が生まれる環境をつくりたいと考えています。
それができれば、必然的に自分自身の引き出しも増え、最高の演出スキルを身につけることにもつながると思っています。

── 各人が強みを伸ばせる環境づくりに、力を入れているのですね。

岩見そうですね。
もちろん、最初から突出したスキルのある方に来ていただくこともあり、それはそれで大歓迎です。一方で、まだ若手でプランナー経験のない方に来ていただくケースも多いです。スクリプター未経験でも、学習体制が整っているため、ご本人の学習意欲や熱意次第ではありますが、活躍している人はいます。
Luaの活用を含め、難しいことをやっているチームである自覚はあります。だからこそ、ラーニング期間をしっかり設け、座学、OJT、メンター制度、勉強会など、各人の学びを加速させる体制や機会づくりに力を入れています。
業界歴の長さや年齢に関係なく、実力があれば仕事を任せられ、活躍できる環境もあります。実は齋藤さんも、22歳という若さで入社をされていますが、入社当初から第一線で活躍されています。
今の自分を越え、できることを増やしたいと思っている方は、ぜひ、お話しさせていただけると嬉しいです。

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