1周年を迎えた『ヘブンバーンズレッド』の軌跡と、感動体験を意識したこれからの挑戦

『ヘブンバーンズレッド』(以下、『ヘブバン』)は2022年2月のリリースから1周年を迎え、累計収益は2億ドルを突破。さらに『Google Play ベスト オブ 2022』では「ベストゲーム 2022」を獲得するなど、この1年間で大きな成長を遂げました。

今回は、ゲームデザイン、3Dアート、エンジニアリングの各パートを担う3名に、1周年を迎えた気持ち、リリース時からのチームの変化についてインタビュー。感動体験を創出するための想いも交えながら『ヘブバン』に関わりたい方へのメッセージもお届けします。

養田 直倫
Wright Flyer Studios本部 / 第2スタジオ部 / Game Design 2 グループ / Game Design 5 チーム

2012年に新卒入社し、『海賊王国コロンブス』の企画に参入。ライトフライヤースタジオでは『消滅都市』のゲームデザイナー兼シナリオライターを担当し、ディレクターやメインストーリーの執筆も経験。『へブンバーンズレッド』に参画後は、バトルチームや新機能チームのマネジメント、ゲームデザインディレクターとしてゲームデザイン全般のディレクションやレビューを担う。

菊池 景伍
Wright Flyer Studios本部 / Art部 / Art 2グループ / Art 4 チーム

2018年に新卒入社し、『消滅都市』のアートとして主に2D背景を担当。その後、新規施策の3D制作やレベルデザインを経験し『へブンバーンズレッド』チームに参画。同作では3D背景のマネジメントや、3Dアートディレクターとして3Dパートの絵づくりを担う。

内田 啓太
開発本部 / ゲーム開発部 / Client Engineering2 グループ / Engineering1 チーム

2019年に新卒入社し、入社後は『消滅都市』シリーズの開発運営に参画。ドラマRPG『AFTERLOST - 消滅都市』の開発に携わった後、本編の開発運営も経験。現在はメインプログラマーとしてメインストーリーの開発、クライアント開発全体の方針決めや実装サポート等を担う。

チャレンジし続けた1年間。リリース後の「運用」が花開く

── 『ヘブバン』1周年のタイミングで累計収益2億ドルを達成し『Google Play ベスト オブ 2022』では「ベストゲーム 2022」も受賞しました。今の率直な気持ちを教えてください。

養田 直倫(以下、養田)事業に責任を持っている以上、数字ももちろん意識はしますし、受賞も大変ありがたいのですが、この1年間たくさんのお客さまにご支持いただいたからこそ得られた結果だと思っていますし、お客さまへの感謝の気持ちが一番大きいです。スマホゲームの市場では成功の難易度が年々上がっていますが、『ヘブバン』は盛り上がり続ける流れを作ることができて本当に良かったです。

新施策リリースに向けた開発にも力を入れたのですが、新機能を追加したり機能改善をしたりと、運用面でチャレンジし続けたこともご支持いただけたのかなと思います。

菊池 景伍(以下、菊池)たしかに、1年経っても熱量を維持できた要因には『ヘブバン』らしいアップデートがあると思います。

例えばアートだと、リリース前からもフィールドや絵づくり、スキルのつくり込みなどやっていたのですが、運用に変わってからも「ここまでやるか」というほど新しいものを毎月取り入れていけました。第四章前編ではモーションキャプチャーを導入することでカットシーンのつくり方も変わりましたし、自分たちのこだわりを詰め込んで進化してきた手応えを感じますね。

今や『ヘブバン』は、スマホゲームとは形容しきれないものになってきた。コンシューマーゲームとスマホゲームの狭間のような存在になりつつあるのではないでしょうか。

内田 啓太(以下、内田)スマホゲームは、年に1回ほど障害が起きて大規模なメンテナンスが入るケースも珍しくない。『ヘブバン』は、遊んでくれる人が増えた中でも障害によってサービスを止めることなく1周年を迎えられた。素直にチームを誇りに思っています。

僕が所属するクライアントエンジニアチームを振り返ると、かたちにしたものの数が半端なく多かったなと。通常のイベントのリリースやメインストーリーの更新を並行で開発しつつ、日々新しいメンバーも増える中で大量の施策を進行してリリースできているので「このチームは強いな」と考えています。

── 新しい施策と言えば、2023年2月に実装された「ライブモード」も印象的でした。

養田「ライブモード」の話がチーム内であがったとき、正直驚きました。

でも『ヘブバン』チームは、『ヘブバン』の世界やキャラクター、物語、音楽などを愛する様々なお客さまに楽しんでもらえる、テーマパークのような場所でありたいというスローガンを掲げています。「ライブモード」はそれを象徴するような機能だと思います。

菊池たしかに今の『ヘブバン』は、リリース前のメンバーだけでは成し遂げられなかったものがたくさん実現できてきていると思います。3Dアートには映像業界出身の人やモーションキャプチャの経験者などが新たに加わり、その知見をうまく取り入れながらアップデートできました。

関連記事:「最上の、切なさを。」を求めて。『ヘブンバーンズレッド』でシネマティクスの原点に立ち返り、感情表現の限界に挑む
https://www.wfs.games/blog/story/interview21/

規模が大きくなっても「制作が孤立しない」安心感がある

── この1年でチームの変化を感じた部分、逆に変わらない部分があれば教えてください。

養田『ヘブバン』に関わるメンバーが200名以上にまで増えたのは、リリース時から一番の変化です。

チーム規模が大きくなるにつれて、自ら声をあげられるかどうかが働きやすさの鍵になっていると感じます。中途入社のメンバーも、そういった人はすぐにリードとして活躍しています。もちろん、手をあげにくい特性の人も孤立しないよう、しっかりフォローアップする体制を整えています。

菊池アートも人は増えましたが、周りの制作状況を把握したり意見交換できたりするような工夫をしているので、大きな問題なくここまで来れた印象です。

── どのようなコミュニケーションを取っているのでしょう?

菊池定例やレビューで話す機会もありますし、人によってはノウハウをドキュメント化して共有したり、2Dアーティストの人たちはお昼休みに話していたりもしますね。以前は、Unityを使えるようになりたい、3Dアートを学びたい2Dの人たちが集まり、3Dのメンバーがレクチャーしていることもありました。

内田Zoomの「雑談部屋」というものを設けて、入室して質問や相談をすれば、詳しい人がすぐ答えられるようにもなっていますよね。

養田あと『ヘブバン』チームは職種や雇用形態に関わらず、どのメンバーもSlackのほぼすべてのチャンネルに参加するので、検索すれば誰でもほしい情報がすぐ手に入る体制です。分からないところを気軽に聞ける空気感もあるため、こういった仕組みも孤立しない一つの要因になっているのだと思います。

内田クライアントエンジニアの変化では、リリース前と比べて組織が2倍ほど大きくなりました。それに伴ってつくる量も増えたのですが、業務管理は引き続きしっかりできていると感じます。

── どのような進行管理をしているのでしょうか?

内田エンジニアチームの仕事を1つのシートにまとめて可視化しています。リリースするバージョンごとに全体を進行するエンジニアを立てて、タスクも牽引してもらっていますね。バージョンごとにメインプログラマーがいるような体制ですので、チームメンバーの責任感も非常に高いです。
また各タスクの進捗を見ながらサポートする人を配置したりと、流動的な対応もおこないます。

養田さんが話すように自主性は大事ではありながらも、ライトフライヤースタジオとしてその強制は目指していない。だから大変なとき、困ったときにアラートをあげればサポートを受けられる仕組みがちゃんとあるんです。

クオリティとスピードを胸に、チャレンジし続ける

── 『ヘブバン』が2周年、3周年と長く愛される上で、挑戦したいことを教えてください。

養田チームの間では「『ヘブバン』として出すならこのクオリティだよね」という“『ヘブバン』クオリティ”のような共通認識があります。その基準がこの1年でどんどん上がった結果、楽しんでくださるみなさんの期待値も上がっていると感じます。

今後も“『ヘブバン』クオリティ”を大事にしつつ、新しい驚きを与えるための挑戦をし続けたいです。特に、お客さまが一番楽しみにしてくださっているメインストーリーは、ご期待に添えるよう一番力をかけて制作しています。上がり続ける“『ヘブバン』クオリティ”を更新していくこと自体が最大の挑戦ですね。

菊池自分は、今までやってこなかったアセットのつくり方や実装を取り入れて、遊びのアップデートをしていくのがひとつの目標です。

加えて、3Dアーティストとしてはストーリー体験も大切にしていきたい。メインストーリーやイベントの体験価値を上げ、ストーリーに合った演出をつくるためのグラフィック、モーションやカットシーンをどれだけリッチにしていけるか。これから出す第四章後編も含め、そのチャレンジをしているところです。

── とはいえ、スピードとクオリティのバランスも大事ですよね。その調整はどのように実施していますか?

菊池メインストーリーでいえば、お客さまをお待たせしすぎるわけにもいかないので、どうしてもやれることが限られてきます。アイディアをすべて詰め込みたくなるものの、優先順位を決めて共通認識を持つようにする。

たとえば第四章前編なら、「歩きの自由度を向上させる」「カットシーンの演出を上げる」というように、毎回優先すべきチャレンジテーマを設けていました。後編もテーマを掲げながら、みんなで同じ目標を持って取り組んでいます。

内田あとは、UX体験も向上させたいですね。そのひとつとして、2022年の冬に3Dキャラを細部まで鑑賞できる「スタイル3Dビュー機能」を実装しました。

内田この機能はみなさんからの要望も多く、社内でも進めたい施策のひとつでした。この機能が実現したときのように、遊んでくださるみなさんの声に耳を傾け、UX体験をさらに向上させていきたいです。

『ヘブバン』らしい表現を、新しいメンバーとつくり上げる

── 今『ヘブバン』チームにジョインする面白みは何でしょうか?また、ライトフライヤースタジオに興味を持っている方へのメッセージをお願いします。

菊池新しい挑戦をしたい人にはぴったりの環境だと思います。『ヘブバン』は「IPのなかで決められたものをつくる」というよりも、みんなで話し合いながら表現を考えていくタイトルです。その部分に面白さを感じられる人にはマッチしそうですね。

3Dアートの部分で言うと、ゲーム業界出身者でない方の視点もいただきたい。他業界で「自分の今持っている技術をゲームに転用したい」と考えている方がいるなら、そのアイディアを伺いたいです。チームとしてはメンバーがどんどん増えているので、リーダーを目指す方もジョインしてくれたら、組織としてより良くなるだろうと期待しています。

内田『ヘブバン』のエンジニアをやる魅力は、企画段階からしっかり参加できる点です。企画やアートから「こういうことをやりたい」という声が出た段階、いわゆる上流工程から関われる。

企画に対してそれぞれの観点から面白さを追求し、アクションをとっていく文化が根付いているので、指示通りに動くよりも、自分で考えて意見を出すタイプですね。そういう方と一緒に『ヘブバン』をつくっていきたいです。

養田より良い『ヘブバン』のために、気兼ねなく声を出せる方に仲間になっていただけると嬉しいです。大きな提案ではなく、些細な気づきでもありがたいんです。誰かのちょっとした考えから話が広がり、大きな課題の解決に繋がることもありますからね。

新しい取り組みをおこなう際にも、そのテーマに精通しているエンジニアさんに必ず見せて意見を出してもらったりと、日々、多方面からアイディアを募っています。

── 職種の垣根を越えた意見交換がされているんですね。

養田職種は関係なく、一人ひとりが気づいたこと・気になったことをどんどん意見出しすることが多いです。ライトフライヤースタジオに興味を持った方の中で、こういった文化に共感してくださる方がいたら、ぜひ一緒に『ヘブバン』を盛り上げていきたいです。

ライトフライヤースタジオでは一緒に働く仲間を募集しています

同じカテゴリーの記事