『アナザーエデン 時空を超える猫』5周年記念インタビュー。開発メンバーが語る、コンテンツ制作の裏話

2017年4月にリリースした『アナザーエデン 時空を超える猫』(以下、『アナデン』)は、常にキャラクターやコンテンツを更新し続け、国内1,000万ダウンロードを突破。多くの方にお楽しみいただき、ついに5周年を迎えました。

今回は5周年を記念して、主要スタッフ4名にインタビュー。開発時の苦悩や5周年を迎えた率直な気持ち、そして今後も多くの方に遊んでいただくために実施したいことを聞いてみました。

村野 大輔
Studio本部Studio1部 部長

株式会社ナムコ(現、株式会社バンダイナムコエンターテイメント)にプランナーとして新卒入社。『エースコンバット』シリーズ、『ソウルキャリバー』シリーズ、『 機動戦士ガンダム エクストリームバーサス』シリーズ、『Rise of Incarnates』などに携わり、ディレクター・プロデューサー業を経験。2016年からは株式会社コロプラにて、『プロ野球バーサス』『蒼の三国志』などのディレクター・プロデューサーを担当。2018年にWFSのStudio本部Studio1部 副部長として入社し、のちに部長へ。『アナザーエデン 時空を超える猫』と『へブンバーンズレッド』の担当部長として、プロダクトの長期戦略や組織づくりなどを幅広く統括。

栗山 知也
Studio本部Studio1部 副部長

2014年に新卒入社し、WFSとしての第一作『消滅都市』の企画やゲームデザインを経験しディレクターへ。2017年には同作のプロデューサーに就任し、その後、プロデューサーチームのマネージャーなども経験。2020年よりStudio本部Studio1部 副部長に就任したのち、『アナザーエデン 時空を超える猫』の3代目プロデューサーも兼任。

喜多岡 雅明
Studio本部 Technology Development部 Engineering1グループ シニアマネージャー

2011年に株式会社コーエーテクモホールディングスに新卒入社し、主にプログラマーとして『ONE PIECE 海賊無双』シリーズなどの他社IPのゲーム制作に従事。2019年5月にWFSに入社。同年7月からクライアントエンジニアとしてジョインし、マネージャーを経験。2022年4月現在は、他プロダクトも含めて統括するシニアマネージャーとしてエンジニア組織をマネジメント。

加藤 立真
Studio本部Studio1部 Art1グループArt1チーム シニアアーティスト

2018年に新卒入社し、『アナザーエデン 時空を超える猫』チームに配属。2018年より2Dアートチームにてキャラクター制作に従事したのち、2021年から3代目アートディレクターとして、ゲーム内のキャラクターデザイン・イラスト制作、ディレクションなどに従事。

5周年は、“10年続くプロダクト”への通過点

── まずは『アナデン』リリース5周年おめでとうございます。節目を迎えた率直なお気持ちを教えてください。

栗山 知也(以下、栗山)そうですね。常に「飽きられない」ことに気を張っているので、5周年という区切りに大きな特別感があるわけではなくて(笑)。
ただ、楽しんでいただく施策は色々おこなったので、良い反応をいただけるとほっとします。特に『アナデン』はコアなRPGファンが多いので、そういう方に好評いただけたと思うと嬉しいですね。

喜多岡 雅明(以下、喜多岡)『アナデン』が長く続いた結果が5周年なので、もちろん嬉しさはあります。
ただ技術者としては、安心してプレイできるゲームを提供し続けることに対しての緊張感が常にありますね。特に、サービスが長く続けば続くほど技術も変化するので、その変化を漏れなく把握しながら安定性を維持することは気にかけています。

加藤 立真(以下、加藤)そうですね。僕もやはりみなさんと同じで「5周年だから」という気持ちよりも、力を入れてきた部分を今後も注力したいというか。
3代目アートディレクターを引き継いでから、『アナデン』の絵の部分において、「前と比べて変わってしまったね」と思われないよう、過去のものを維持することにまず注力してきました。
ただ、新しいコンテンツをつくる必要もありますので、それらが今までの流れから違和感なく見えるようにも意識した結果、無事にまずは5周年を迎えられたのかなと。

村野 大輔(以下、村野)『アナデン』は、自分のキャリアの中でもだいぶ関わりが深いタイトルになってきました。このタイトルは、5年経った今でも「次はどんなことをしてみなさんに喜んでもらうか、驚いてもらうか」を真摯に考えています。こんな意識がずっと続くチームはなかなか無いと思います。
そのおかげか、コンテンツをつくるたびにみなさんの期待が大きくなっている。その期待に応え続ける組織にしたいので、『アナデン』に関わる全員でレベルアップすることを自分のなかでは常に考えていますね。みんなの力をさらに引き上げたいし、もっと多くの人に『アナデン』に参加してもらいたい。

── 成長を絶やさない姿勢が伝わってきました。では、これまでを振り返り、みなさんが苦労した点や印象的なエピソードがあれば教えてください。

村野全部印象に残っているんですけど(笑)。副部長時代から力を入れてきたことは、コンテンツ量とクオリティの両方を引き上げることです。
1周年のころの『アナデン』は、今よりも開発メンバーが少なく、コンテンツのつくり方も確立されていませんでした。開発メンバーを増やし、コンテンツの製作フローを整理したことで、5周年を迎えた今、年間のコンテンツ量は当時の2倍くらい出せています。
とはいえ、『アナデン』をプレイするみなさんに継続的に楽しんでいただくためには、さらなる努力が必要だと考えます。外典や外伝、そして今回5周年で公開した外史に満足することなく、より良いものを今後もつくっていきたいですね。

栗山ちょっと前の話なんですけど、『アナデン』で初めてコラボイベントをしたときのやりとりは印象的です。
ゲームのコラボイベントって一般的には、そのキャラクターがガチャとして期間限定で登場するパターンが多いです。でも、『アナデン』チームでは「それじゃいけない」となりました。
というのも『アナデン』には、「いつどのタイミングで遊びはじめても、同じ体験を提供する」というポリシーがあるんです。それを踏まえて、どのようにコラボを実現するか考えました。
最終的には、期間限定ではなく、無期限でコラボイベントをすることになりました。つまり、いつダウンロードして遊びはじめても、別の作品とのコラボゲームがずっと遊べる。業界的にはなかなか異例だと思います。
こういった結論に辿り着くまでの「考え抜く精神」といいますか、『アナデン』を楽しんでくださるみなさんのために妥協しない姿勢や、一つひとつの意思決定を大事にするところはかなり印象深かったです。

── 期間を設けないコラボとなると、企業間の契約も工夫が必要だったのではないでしょうか?

栗山そうですね。コラボまわりの契約を主導してくれたBusiness Developmentチームにとっては難題だったと思いますが、ちゃんとプロダクト側の意図も理解して交渉に臨んでくれました。今思い返しても「すごいな」と。
そして、当時のコラボイベントから今まで、出てくるキャラクターは全て無償で、かつ「出逢い(ガチャ)」ではなくストーリーを進めれば全員が手に入れられることを貫いています。結構振り切っていますよね(笑)。
でも「プレイしてくれるみなさんのためにそうしよう」とブレないところが、このプロダクトの尖っているところであり、プロダクトのポリシーが現れたところでもある。
あとは、前任の2代目プロデューサーと「10年続くIPをつくること」を掲げていたので、そのために『アナデン』がどのように遊べるゲームであるべきかを考えた結果でもあります。

新しいものを生み出し続ける「運営開発」が強み

── 以前社内で、『アナデン』チームは「運営」ではなく、「運営開発」をしている点が特徴であると話していたのが印象的です。「運営開発」とは具体的にどういうことか改めて教えてください。

村野自分はこれまで様々なゲームに携わってきましたが、WFSに入社以降、『アナデン』を4年間見てきて、このチームの素晴らしさのひとつにコンシューマーゲーム的な続編、スピンアウトパッケージの開発力があると思っています。
『アナデン』には、「コンシューマーゲームのようなゲーム体験をスマートフォンで実現する」というコンセプトがあります。だから例えば、第1部が終わって第1.5部、第2部となったときに、コンシューマーゲームでいうとそこが、次の新しいゲームに該当する感覚というか。

── 例えば『アナデン』の第2部が、コンシューマーゲームでいう『アナデン2』に該当するようなことでしょうか?

村野そうです。例えば、外典や外史などは「もうひとつの本編」というニュアンスで売り出していますので、スピンアウト的な新規開発が当たり前になっています。
そういった意味では、『アナデン』をリリースしたあと、運営はしていますが、全く新しいものを常につくり続けているところが非常に開発的だなと。
自分はそれをどう表現すればいいのかなと考えて、結果的に「運営開発」と表現したんですよね。

── 常に何かをつくっている『アナデン』にぴったりですね。ちなみに、新しいコンテンツをつくり続ける流れは、チーム内でどのように生まれているのでしょうか?

栗山「次は何をしようかな」と考える風潮が常にあるので、それが出発点ですね。
運営タイトルであれば、これまでのリソースを活かして効率的に運用する方が、事業観点上は好ましいと思います。もちろんそれは正しいですが、『アナデン』は良くも悪くも非効率なものが多いというか。
ただ逆に、そのおかげで企画者などの現場側の思想を狭めないような発想ができているんじゃないかと。私は良い意味で捉えています。
一方で、特に喜多岡さんとかは、システムが複雑になったり、データが膨大になったりして大変ですよね。

喜多岡そうですね(笑)。エンジニア視点でいうと、今回の5周年で一番分かりやすいのが「メビウスの迷宮」のローグライクダンジョンについてなんですけど。ここについては、リソースを変えたりデータをちょっと調整したりして済むものではなく、新たに開発をする必要がありました。
サービスとしてどのように提供すべきか考えながらの開発は大変でしたが、それによって関われる分野も増えるので、つくり手としては面白い環境ですね。

『アナデン』が、関わるすべての人が輝けるように

── 『アナデン』のこれからについて期待している点、挑戦していきたいことを教えてください。

栗山『アナデン』のように、ストーリーやキャラクターに期間限定がなくて、さらにマップが広がって遊べる範囲が急激に増えるRPGタイトルで“10年間の運営開発”を続けるとなると、前人未踏の領域になると思います。
そうなるためには企画者として勝負どころでもありますし、これからどんな世界をつくれるか楽しみでもありますね。

喜多岡基本的に『アナデン』は、新規コンテンツ施策を実現するために、既存の技術だけではなく新しい技術もどんどん取り入れるプロダクトだと思います。
私と同じように中途入社でWFSに入り、『アナデン』をつくりたいと思ってくれた人たちをちゃんと迎え入れて開発に関わってもらう。最終的には一人前になって巣立っていけるような場をつくりたいです。
未来も見据えた組織づくりをしつつ、エンジニアのみなさんの成長過程を考えることがシニアマネージャーである自分の役目かなと。

加藤『アナデン』の絵は、テイストが統一され、クオリティが保たれているのがひとつの魅力です。ただ、それを維持するために以前は属人的な状況が続いており、「この人じゃないとできない」という仕事が大半を占めていました。
自分が3代目アートディレクターになってからは、その課題解決のために、『アナデン』のテイストを再現する方法を社内や外注先に共有していきました。
テイストやクオリティを維持しつつ、人が変わったり増えたりしてもちゃんとゲームが続くようにしたいというのがアートチームの目標です。

── 10周年に向けて、企画だけでなく組織もパワーアップしていく意気込みが伝わりました。最後に、どういった方であれば『アナデン』の運営開発を楽しめると思いますか?

村野スマートフォン、そしてコンシューマーゲーム、それぞれの経験が活きる場だと思います。
『アナデン』がすごく面白いのは、これだけ歴史があるなかで、これからも全く新しいものをどんどんつくっていく姿勢があること。先ほど喜多岡さんも言いましたが、今回の「メビウスの迷宮」のローグライクダンジョンは、普通であれば別パッケージのゲームになるほどのものです。
今後も、本当だったら別パッケージになるようなボリューム、クオリティのものを開発運営していきたいので、新規開発をどんどんやりたい人にはぜひ来てほしいですね。
あと『アナデン』はずっと運営され、常に更新されていくコンテンツがあるので、そういった意味ではプレイしてくださる方々との距離が非常に近い。生放送をしたり、グッズを出したりといったことも含めて、みなさんの声を聞きながらゲームをつくっていけますから。
おそらく、新規開発もやりつつフィードバックをもらいながらプロダクトを成長させられる環境ってなかなかないですよね。
スマートフォンのゲームをつくっている人もコンシューマーゲームに携わっている人も、先述のように両方の良いところが混ざっているプロダクトなので、そういったところを魅力に感じていただければ嬉しいです。

最後に、『アナデン』には加藤正人という大きな大黒柱がいて、加藤さんがメインストーリーを担っていくれているんですが、彼は非常に寛容なんですね。外典や外史のような、メインストーリー並の壮大なものを企画しても面白がってくれて、変に世界観を制限することがない。

そのおかげで新しい企画、そしてそれに付随する物語が生まれやすいと思うんです。だからある意味『アナデン』はプラットフォーム化しているというか、色々な人のクリエイティブを花咲かせられる場所なんですね。

自分としては、今いる人もこれからWFSに来てくれる新しい人も、このありがたい環境に感謝しながら、やりたいことが展開できる環境にし続けていきたいです。

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