お客さま一人ひとりの熱量を大事にするアナザーエデンのマーケティング方針。『アナデンまつり2024春』から紐解く、ファンコミュニケーションの考え方

これまで数多くのファン参加型イベントを開催してきたライトフライヤースタジオ。2024年4月6日(土)に、シングルプレイ専用RPG『アナザーエデン 時空を超える猫』(以下、『アナデン』)のリアルイベント「『アナデンまつり2024春』7周年直前公開生放送」を開催。抽選で選ばれた約270名が会場に集まり、お客さまとともにアナザーエデンの7周年を盛大に祝いました。
今回は、「アナデンまつり2024春」開催に至るまでの道のりを通して、ライトフライヤースタジオのマーケティング部が大切にしている考え方について、お伝えします。

平野 達也
マーケティング部 マーケティング 1 チーム マネージャー

2014年にグリーグループのGlossomに入社。ライトフライヤースタジオのマーケティングチームにジョインし「消滅都市」「釣りスタ」など数多くのタイトルのマーケティングに携わる。現在は『アナザーエデン 時空を超える猫』のプロモーションを担当。マネージャーとしてのチームマネジメントを中心に、イベント企画・運営からコミュニティ施策、デジタル広告まで幅広く担当する。7周年リアルイベントでは、企画から運営までを担当。

平澤 信之介
スタジオ本部 第3スタジオ部 副部長

2007年に株式会社セガに入社し『龍が如く』シリーズなどのコンソールゲーム開発に参画。2015年からはオンラインゲーム会社にて複数タイトルのディレクター、プロデューサーとしてゲームの新規開発や運用を幅広く経験。2021年8月、ライトフライヤースタジオにジョイン。2023年4月からは『アナザーエデン 時空を超える猫』の4代目プロデューサーを務める。

Backy
スタジオ本部 第3スタジオ部 Game Design 1 グループ / Game Design 4 チーム

2013年1月からグリーグループにジョインし、2016年7月からグリー株式会社の「探検ドリランド」チームにてプランナーとして従事。クローズドファンイベントで「キング博士」として司会進行を務め、お客さまとのコミュニケーションも担当する。2020年11月、ライトフライヤースタジオにてGlobal版『アナザーエデン 時空を超える猫』にプランナーとしてジョイン。2022年2月からは公式生放送「こみゅなま」のメインMCも兼任する。

来場者の方々に、「ゲームの世界に入り込む体験」を提供

(『アナデンまつり2024春』では7周年を記念した数々の展示のほかに7周年記念情報を発表する生放送を実施。約270名ほどのアナザーエデンファンと共に7周年をお祝いした)

── ──まずは、7周年おめでとうございます!2024年4月にリアルとオンラインのハイブリッド型イベント「『アナデンまつり2024春』7周年直前公開生放送」を開催しました。イベントの準備はいつ頃からはじめたのでしょうか?

平野構想をはじめたのは、半年ほど前です。

平野まず初めにはイベント全体のテーマとモチーフ決めから考えはじめました。長い期間遊んでくださっているお客さまに喜んでもらえ、これまで実施したアニバーサリーイベントとは違って見えることを意識して企画を考えました。アナザーエデンの7周年では未来世界を主軸としたコンテンツの追加などもあったため、「未来」という全体のテーマはスムーズに決まりましたが、そこから具体的に何をモチーフにするのかを決めることには苦労しましたね。

平野最終的には、プロデューサーである平澤さんからの「トト・ドリームランド(※)はどうだろうか?」という提案が突破口になりました。

※トト・ドリームランド:『アナデン』に登場するエリアの一つ。荒廃したテーマパークがモチーフになっている。

平澤イベントで発表する内容の一部に、「トト・ドリームランド」につながるものがあり、モチーフにしてはどうだろうかと思っての提案でした。イベントに参加してくれるお客さまが、ゲームのなかに存在するスポットにポンっと入っていただけるような世界観の体験が提供できると、感動を生み出せるのではという思いもありました。

平野「トトでいくなら、これをやりたい」というアイデアが多くの仲間から寄せられ、これならいけそうだと確信をもち、ようやく今回のイベントの全体像が見えてきました。

平澤具体的な方向性が決まってからは、ゲームの世界で登場する「顔ハメパネル」「自動販売機」などを再現するなど、当日会場に来ていただいたお客さまに、楽しんでもらえる企画が生まれました。

(実際に会場に設置された「顔ハメパネル」。トト・ドリームランドの背景も用意されており、実際にゲームの世界に入り込んだような写真が撮影できる)

(実際に会場に設置された「自動販売機」。カプセルトイになっており、専用のトト・メダルを投入することで、アクリルキーホルダーが手に入る)

(ゲーム内に登場する「トト・ドリームランド」のマスコットキャラクター「トトくん」を模した着ぐるみも登場。多くのお客さまと記念撮影を行った)

(会場にはメッセージを記載できるボードも用意。多くのお客さまがアナザーエデンの7周年をお祝いするコメントを書き込んでいた)

平野過去にアナデンで実施したリアルイベントでお客さまから回収したアンケートの結果も踏襲しながら、イベント設計を進めました。例えば、以前のアンケートで、とあるお客さまからイベントに一人で参加しているが、イベントの待ち時間に手持ち無沙汰になるといった声がありました。そこで、今回は待ち時間でも楽しめるように「かくれんぼトトくん」のようなミニコンテンツの企画に繋がりました。その他にも少しでも楽しい時間が続くように色々な工夫をしております。

(会場に設置された7周年キービジュアルを用いた巨大パネル。実はこの中に、トト・マークが隠されていた)

普段から公式生放送「こみゅなま」のメインMCを務めているBackyさんには、その高いホスピタリティを最大限発揮してもらうため、会場内でのお客さまとの交流や、本番前での前説などお客さまの前に出て、会場の盛り上げをお願いしました。Backyさんなら、イベント来場者の方々の満足を引き出し、信頼関係を築いてもらえるという確信がありましたね。

(当日、来場者の方と交流するBackyさん)

── 絶大な信頼を置いているのですね。Backyさんが、イベント当日に意識していたことがあれば教えてください。

Backyありきたりで申し訳ないですが、イベントに来てくれたお客さまがどれだけ長く笑顔でいてくれているのか、どれだけ長く感動してくれているのか、はずっと意識していました。変に何を喋るのかを決めすぎず、来場者の方々の顔を見ながらトークを展開していました。
とくに、一人ひとりのお客さまの顔はしっかり見ていましたね。目の前の光景をなんとなくでとらえず、「今あなたと目を合わせているんですよ」という気持ちで、一人ひとりのお客さまとしっかり目を合わせていました。

職種の垣根を越えて、一丸となってイベントをつくる

── 顔ハメパネル、自動販売機(ガチャマシン)含め、こだわりが詰まったイベントでした。それだけの準備をどのように進めたのでしょうか?

平野イベントの全体設計や当日までの進行管理はマーケティング部でおこない、制作物の作成や当日の盛り上げなど多くの部分では、職種の垣根を越えて仲間の力を借りました。
例えば、世界観の再現については、アナザーエデンのアートチームの仲間に力を借りています。実は、トト・ドリームランドはゲーム内では廃墟となっている設定で、そのまま再現してしまうと、イベント全体がお化け屋敷のような暗い雰囲気になってしまう懸念がありました。
そこで実際に、ゲーム内のアートデザインを手がける背景チームやキャラクターチームとも連携し、「トト・ドリームランド」に存在する建物や小物について、廃墟になる前の綺麗な状態を目指してレタッチをしてもらいました。廃墟の姿しか知らない来場者の方々に「これが昔のトト・ドリームランドか」と驚きを与えられたのではと思っています。
その他にも、会場内でどういったサウンドを流せばテーマパーク感を醸成できるかをサウンドチームと話したり、「トト」の世界観についてをディレクターやシナリオチームと話したりと様々な部署と連携して、本イベントをつくり上げることができました。

── 開発チームとマーケティング部門との連携を密におこなっていたことは、よく分かりました。通常業務もあるなか、イベントのために快く協力してもらえるのでしょうか?

平野もちろんです!
当然、スケジュールなども考慮せずに一方的にお願いをするようなやり方だとうまく協力を得られるとは思っていません。普段からの業務において信頼関係を築き、相手の仕事に対するリスペクトをもって、相談を持ちかければ、部署に関係なく「一緒にお客さまに喜んでもらうのだ」と前のめりで協力してもらえます。
イベント全体を設計する立場としては、部署の垣根を越えた一体感を社内に生み出すことも、より良いイベントの場を生み出すために意識していることの一つです。あらゆる部署の仲間と積極的にコミュニケーションをとり、お互い自由に言い合える土壌づくりを大事にしています。

一人ひとりの熱量を大事にしてるアナザーエデンのマーケティング方針

── あらためて、お客さまに対するコミュニケーションにおいて、アナザーエデンのマーケティングチームでとくに意識していることがあれば、教えてください。

平野アナザーエデンのマーケティングにおいて熱量を大事するということを一つのテーマとしています。お客さま一人ひとりの熱量を高め、よりアナデンを愛してもらえるように、日々様々なプロモーション企画をつくっているのです。その点、Backyさんのお客さまとの接し方は、まさに我々が目指すコミュニケーションのあり方を体現していると思います。

Backyありがとうございます。そのあたりは日々意識している考え方です。
『アナデンまつり2024春』でも、一人ひとりとコミュニケーションをとることをとくに意識しており、これまでのイベントで見たことのあるお客さまには「お久しぶりです」「また来てくださったのですね」とお声がけをしました。そのようなお客さまとは、好きなアナデンキャラのいわゆる「推し活」の話しや近況報告などを感謝とともに楽しくお話しさせていただきました。

平野Backyさんの一人ひとりに向き合う姿勢は、いつもリスペクトしています。今回のイベントのほかにも、今年のアナザーエデンのプロモーションとしてはコアなコミュニティに対してのアプローチや東京以外の地域にお住いのお客さまも楽しめるようなプロモーションも重点的におこなっていく予定です。
これまでも、2024年5月には全国7都市を横断しての交通広告を実施しました。アルド(アナザーエデンの主人公)が全国主要都市に出張して冒険の旅を再現するというようなクリエイティブになっておりまして、見ていただいたお客さまからは「アナザーエデンをより身近に感じることができた」などの声をたくさんいただくこともでき、実施してよかったと思っております。
これもなかなか普段東京以外のイベントの機会が限られるという中で、色々な地域のお客さまの熱量を高めていきたいという思いから生まれた施策となっております。
もちろん、デジタルマーケティングや、テレビCMや交通広告といった新規・マス向けの施策もおこなっていますが、同時にコミュニティのみなさんと向き合うための施策も積極的におこなっていきたいと考えています。

── 一気に何万人にも届くようなプロモーションと同時に、今回のイベントのような限られた人数に向けたコミュニケーションも大切にしているのは、なぜなのでしょうか?

平野やはり、熱量の高いお客さまに支えていただいているタイトルは強いからです。
もちろん、長い間遊んでもらえること自体ありがたいのですが、タイトルを取り巻く「空気」への影響力も大きいと考えています。様々なフェーズがあるなかで、どんなときでも『アナデン』が好きで、味方であり続けてくれるお客さまがいらっしゃることで、タイトル運営を続けられるのです。
また、一人のお客さまの熱狂が起点となって、別の方へと魅力が伝わるとも考えています。お客さまが思わず「好きだ!」と叫びたくなるような熱狂が、SNSやリアルでの口コミなどを通じて自然と他の方にも伝わり、結果としてゲームで遊んでくれる人の数も増えると思っています。一人の「好き」が、別の誰かに伝播し、その声がどんどん大きくなっていく世界を目指しています。

平澤プロデューサー目線で言うと、7年も続けてきたタイトルであり、これまで支えてきてくださったお客さまをこれからも大切にしていきたいと思っています。その方々のおかげで、今の『アナデン』があるからです。感謝の気持ちを伝えることがまず大事で、その結果、平野さんが言ったように、遊んでくれる人の輪が広がると良いなと思っています。

── Backyさん、平澤さんから見て、マーケティング部はどのような存在なのでしょうか?

Backy私にとってマーケティング部の仲間は、我々のもつ思いを、いろいろな視点から検討し、正しく伝わるかたちに整理してくれるパートナーです。「この言葉の方が伝わる」「このタイミングの方が良い」と専門的な視点でアドバイスをもらえます。その後のお客さまからの反響も共有してもらえ、さらに自分の伝え方をブラッシュアップできます。我々がより多くのメッセージをお客さまに届けるうえで、二人三脚をしてもらえる、欠かせない存在だと日々実感していますね。

平澤ゲームクリエイターをはじめ、現場でゲームをつくっている人は魂を削って企画や開発に打ち込んでいます。その熱量をそのままお客さまに投げつけてしまうと、想いが強すぎるがゆえにうまく伝わらないこともあると思っています。そのようなとき、適切に伝えるための温度感や、メッセージの順番などを整理してもらえ、ありがたいです。
私はこれまでいくつかの現場を経験をしてきましたが、とくにライトフライヤースタジオのマーケティング部は、ゲームへの理解を深める努力をしてくれる、という印象が強いです。広告をつくって終わり、ではなく、しっかりゲームをやりこんだうえで「何を訴求すべきか」を考えてマーケティング戦略を立ててくれます。
きっとその背景には、ゲーム愛があるのかなと感じています。つい最近も「プレゼント企画でつくったグッズ、すごく良いクオリティなので見てください!」ともってきてくれました。良いものをつくりたいという気持ちが伝わってきましたね。

マーケティング部は挑戦を続け、新しいイベントを仕掛け続ける

── 今後の展望を教えてください。

平野アニバーサリーイベントに関しては、来年再来年とこれからも長く続けていきたいです。その際は、お客さまからいただいた声や、蓄積されたデータやノウハウを最大限活用していくつもりです。また、『アナデン』自体がこれからも進化を続けますので、仕掛けるイベントもどんどん進化し続けていければと思っています。
マーケティング部としては、今後も『アナデン』に関係するコミュニティを大事にしつつ、さらに喜んでもらうため、コラボやアップデート関連のイベントにも、積極的に取り組みたいと思っています。部署として、日々新しい挑戦を続けていくつもりです。

── ライトフライヤースタジオのマーケティング部では、どのような方が活躍できると思いますか?

平野タイトルに対する愛をもっていることは大きな素養の一つではないでしょうか。
私もそうですが、自分自身が担当ゲームの一番のファンであるという自負をもって業務にあたることで、生まれる発想や、引き出せる感動があると感じています。もうひとつ上げるとするならば、普段から色々なことに興味をもち、趣味なども積極的に取り組んでいる方も活躍できるのではないでしょうか。引き出しが多いほど柔軟に、面白い施策が提案できると思います。
ライトフライヤースタジオのマーケティング担当者は、イベント設計から告知、デジタル広告の実施、コミュニティのみなさんとの対話といった初めから終わりまで携わるため、業務の幅が広いです。コミュニティマネジメントのみ、デジタルマーケティングのみ、と切り分けてはいないことがマーケティング部としての強みだと思っていまして、マーケティングの担当者としては幅広い経験が積めると思います。
また、単にマーケティング施策を実行するというよりは、「なぜこの方法なのか」とそれぞれの施策の狙いや背景まで考え抜いた企画を立てます。本質的なマーケティングに関する知見が得られる環境だと思いますので、興味のある方はぜひ一度、お話しさせてもらえると嬉しいです。

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