【代表インタビュー】ライトフライヤースタジオ10周年。新しい驚きを生み出す会社の「これまで」と「これから」

WFSのゲームブランド「ライトフライヤースタジオ」は、2024年2月に設立から10周年を迎えました。「新しい驚きを、世界中の人へ。」というビジョンのもと、新しいゲーム体験を生み出し、多くの人に楽しんでもらえる最高のゲームを生み出すことを目指して、創業以来、『消滅都市』『アナザーエデン 時空を超える猫』『ヘブンバーンズレッド(株式会社ビジュアルアーツとの共同開発)』『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか〜メモリア・フレーゼ〜』『転生したらスライムだった件 魔王と竜の建国譚(まおりゅう)(配信:株式会社バンダイナムコエンターテインメント)』など、心震える物語体験ができるRPGを中心にゲームの開発・運営・配信を行っています。
今回は代表である柳原陽太に、「ライトフライヤースタジオ」の10年間の歩みと、これから先の未来について話を聞きました。

柳原 陽太
株式会社WFS 代表取締役社長

2012年グリー新卒入社。データ分析や経営企画を経験。その後、ライトフライヤースタジオにて開発ディレクター・Studio2部部長・Studio本部長を務める。2021年10月1日、代表取締役社長へ就任。

10年で確立した、物語を感動体験として届ける力

── 10周年を迎えた率直な気持ちを教えてください。

柳原すごく正直に言うと、普段とあまり変わらないです(笑)
がむしゃらに挑戦を繰り返していたら、10周年になっていました。
ただ、流行り廃りが激しいゲーム業界で10年間生き残ることは簡単ではないと思っています。我々のリリースしたタイトルを遊んでくれるお客さまには、心から感謝の気持ちでいっぱいです。また、ここまで一緒にがんばってきたメンバーを誇らしく思います。

── これまでのスタジオの歩みについて教えてください。

柳原まだまだ道半ばではありますが、10年かけてようやく、「ライトフライヤースタジオ」の設立趣意(※)に掲げている3つの約束「新しいゲーム体験を生み出すこと。」「多くの人に楽しんでもらえるものを作ること。」「クオリティに妥協せず、最高のゲームを生み出すこと。」を果たせる会社になってきたかな、というのが私の所感です。
「新しいゲーム体験を生み出すこと。」「多くの人に楽しんでもらえるものを作ること。」を両立させるのは非常に難しいことですが、10年間の挑戦の積み重ねで、自分たちらしい、多くの人に感動をお届けできるゲームが作れるようになってきた、と思っています。

※ライトフライヤースタジオ設立趣意

── 最初から順調だったわけではないのですね。

柳原そうですね。
どの会社もはじめは苦労すると思いますが、「ライトフライヤースタジオ」も設立から5年程は、そもそもゲームを完成させることで精一杯でした。自分たちがつくりたいものがつくれない、苦しい時期でしたね。それでも、挑戦と内省を繰り返し、失敗を乗り越えながら、だんだんと納得がいくゲームを出せるようになってきました。
そして、次の5年でようやく、自分たち「らしさ」に向き合えるようになりました。ライトフライヤースタジオは、『消滅都市』『ヘブンバーンズレッド』など、物語を通じた感動体験をお客さまに評価いただいていると思っています。
例えば、『消滅都市』は、ストーリーの裏に「ある日突然大切な人や場所がなくなったらどうする」というメッセージ性があるタイトルです。
『ヘブンバーンズレッド』では、「最上の、切なさを。」届けることを至上命題にしていて、命懸けの戦いに挑む少女たちが、過酷な運命を背負いながらも明るく振る舞う日常の愛おしさや、前を向くひたむきさが描かれています。Key 麻枝 准さんが描くこの物語をゲーム体験としてお届けするために、ライトフライヤースタジオの開発/運営チームは、Keyさんと議論を繰り返しながら、細部までこだわって力を尽くしています。
そしてどのタイトルにおいても、ゲームの面白さだけでなく「ゲームを通じてお客さまの毎日をよりよくする」という気持ちを持って開発・運営をしています。そのような我々の想いがゲームに反映でき、感動体験を提供してくれる会社として評価していただけるようになってきたのかもしれません。

── この10年で積み上げてきた「ライトフライヤースタジオ」ならではの強みは何でしょうか。

柳原ストーリー性やドラマ性のある本格的なRPGづくりは、10年で積み上げてきた強みの一つだと考えています。
まだストーリー性にこだわったスマホゲームが少なかった時代、我々はシナリオや音楽など、自分たちが心から良いと思えるものを詰め込んだ『消滅都市』をリリースしました。ありがたいことに、同タイトルは世間から評価され、そのおかげで「自分たちの信じたものは、間違っていなかった」と自信を持てました。
それからも挑戦を繰り返し、『アナザーエデン 時空を超える猫』で没入感の高い本格的なRPGや、『ヘブンバーンズレッド』で3D空間で心が震える感動体験を描いて、同じような経験を複数のタイトルで何度も繰り返すことで、芽生えた自信は確固たるものになりました。
自分たちが心から良いと思える体験を作るために、挑戦を積み上げ、成功も失敗も執念で繋げてきた、技術とクリエイティブ、それを肯定できる文化が「ライトフライヤースタジオ」ならではの強みだと思います。

自分たちが面白いと思うゲームを、より多くの人に遊んでもらいたい

── 今度は、柳原さんご自身の経歴について教えてください。

柳原そもそも私がゲームに携わりたいと考えた背景には、幼いころにゲームに救われた経験があるためです。詳しくは、すでに掲載されているインタビュー記事(※)をご覧いただければと思います。

※「『消滅都市』『アナザーエデン』を手がけたライトフライヤースタジオ、新代表・柳原が話すチームのビジョン」

柳原それで、2012年に新卒としてグリーに入社しました。ただ、当時は開発者ではなくデータアナリストとして、スマホ版GREEのMAU(Monthly Active Users)や、GREEプラットフォーム上のゲームユーザー数を増やすといった仕事に携わっていました。公式アプリの通知機能を作ったり、お客さまにインストールしてもらいやすいゲームを編成面に登場させる仕組みを作ったりしていました。ただ、それで一時的にユーザーの数を増やすことはできても、長く続けてくれるお客さまを作ることはできませんでした。
次に任されたのがゲームタイトルそのものの分析でした。担当タイトルの課題分析をおこない、課題の解決方法を提案し、その提案をもとにゲームをアップデートすることで、お客さまに喜んでいただき、結果として数字に返ってくるという経験をしました。
そこで、複数のタイトルを分析するなかで、担当していた『消滅都市』のようにチームが純粋に、お客さまの求める「新しい驚き」に向き合えているタイトルは分析して改善すればするほど結果が出るが、そうでないタイトルは結果が出にくいことに気がつきました。
その後、経営企画として事業戦略立案を任されるようになってからは、タイトル分析で得た学びを活かし、『消滅都市』のように、社内のクリエイターが純粋にお客さまに向き合える環境づくりを推進しました。
ある程度環境が整ったとき、私からゲームづくりに開発メンバーとして加わりたいと申し出ました。会社としては難しい判断だったと思いますが、最終的には私の希望を汲んでもらい、2015年の7月ごろから本格的に「ライトフライヤースタジオ」に参画し、ゲームづくりに携わりはじめます。

── もともとはまったく別の職種で入社したにもかかわらず、開発に携わるようになったのは面白いですね。

柳原そうですね。挑戦に寛容なグリーグループならではだと思います。
最初に担当したゲームは「これは確実に流行る」と自信を持っていたタイトルでした。しかし、まだ「ライトフライヤースタジオ」が立ち上げのタイミングで組織の規模も小さく、リソースが限られたなかでの開発で、思った通りにはいかないこともありました。予定していた期限内になんとかリリースはできたものの、それで精一杯になってしまいコンテンツが足りず、お客さまは離れていきました。
本当はまだ出したいコンテンツは多くありましたし、お客さまを喜ばせる方法も考えていました。しかし、それが当時のチーム規模では実現しきれなかったことが悔しくて、そのような想いをしないで済むようにと組織づくりにも力を入れるようになりました。

── 社長に就任したのはいつなのでしょうか?

柳原入社8年目の2021年10月です。
私は自分たちがつくるゲームを心から面白いと思っていて、もっと多くの人たちに遊んでもらいたいと考えています。そのために、ゲームのコンテンツ作り以外でも、海外展開のためのチームをつくったり、他社とのパートナーシップを強化したりと、さまざまな領域に関わるようになりました。
面白いゲームを生み出す組織づくりから、つくったゲームを届けるためのアプローチまで横断的に携わるなか、私の動きを評価してくれたのか、社長就任の打診がありました。

社長でありながら、開発も続ける

── 柳原さんは、社長になった後もゲーム開発に携わっています。なぜでしょうか?

柳原ゲームが好きだから。プレイするのと同じぐらい作るのも楽しいから。という本音もありつつ(笑)、自分は、「ライトフライヤースタジオ」が作るゲームがもっと良くなって、もっと多くの人に届くための仕事をしています。
ありがたいことに、たまたまそれが直接ゲーム開発をする仕事であり、今もひとつのタイトルは自分でプロデュースさせてもらっています。余った時間があれば、そのタイトルの現場スタッフとしてスクリプトを書いていたりします。
現場に出続けることで感覚をアップグレードし、その感覚をもって投資判断をできるようにしたいという狙いもあります。
例えば、現場から「クオリティを妥協したくないのでリリースを伸ばしたい」と要望が挙がってきたとします。開発終盤でリリースを伸ばすと追加で数億円かかることもあるなか、それに見合う価値はあるのかを判断しなければなりません。
経営のセオリーとしては、なるべくリスクは避けるべきです。しかし私の場合、自分で開発に携わっていることから、今の市場でお客さまから求められているゲームの品質や、伸ばした時間で上げられる品質の感覚がわかります。それによって、的確な判断ができると考えています。

── 社長でありながら、いち開発担当者でもある働き方をするうえで、とくに意識していることはありますか?

柳原あらゆるコミュニケーションにおいて、自分がどの立場で話をしているのかを明確にすることです。
大前提として、私は「ライトフライヤースタジオ」の最高経営責任者ではありますが、私よりもスキルがあり、面白い発想ができるメンバーは多くいます。だからこそ現場では、いち開発担当者として振る舞い、「スクリプトの仕事を振ってください」みたいなスタンスですね。周りのメンバーからも遠慮なく意見を言ってもらえるようにしています。僕の書くコードが微妙で、「もうちょっときれいに書いてくれませんか」と言われたりもするんですけど(笑)

── 社長もしつつ、開発もするという忙しい中だとは思いますが、ゲームづくりに活かすためのアンテナはどう張っているのでしょうか?

柳原とくに特別なことはしていません。一人のオタクとして、アニメ、ゲーム、漫画を問わず、流行しているものはすべて触れるようにしています。どんなに忙しくても、大好きな「きららアニメ」は全部見るようにしていますし、最近は『推しが武道館いってくれたら死ぬ』の最新刊を読んで泣きました。
幅広いコンテンツに常に触れていますが、ここ最近の私のイチオシキャラはアニメ『ひろがるスカイ!プリキュア』(※)のキュアバタフライこと「聖あげは」です。聖あげはは、プリキュアシリーズ初の新成人プリキュアで、普段は保育士になるための実習に励んでいます。プリキュアも保育士も両方頑張る明るいキャラクターなんです。
我々の世代は、子育てと仕事の二刀流に悩んでいる人も多く、そんな人たちにとっては共感できるキャラクターです。私も、1歳半になる娘がいるからこそ、あげはの生き様には勇気をもらいますし、社長と開発者のどちらも両立させたいという気持ちを後押ししてくれる存在でもあります。

※2024年1月28日に最終回を迎えた(本インタビューは2024年1月に実施)

ゲームづくりに情熱をもつ仲間が集まる場所

── 次の10年に向けて、どのようなチャレンジがしたいか教えてください。

柳原これからも変わらず、多くの人に遊んでもらえる、新しい驚きのあるゲームをつくり続けたいです。
そのためにも、我々がこれまでの10年で確立した得意領域を磨き続け、失敗も成功も繰り返しながら着実に開発力を積み上げていければと思っています。設立時に掲げたお客さまとの約束を果たし続けたいです。

── 「ライトフライヤースタジオ」ではどのような人が活躍するのでしょうか。

柳原お客さまに喜んでもらえるゲームを、自分の領域を区切らずに追求できる人は成長でき、その結果、活躍できると思っています。
「ライトフライヤースタジオ」のメンバーには、高いスキルを持った人が多くいます。そんな素晴らしいメンバーが「ライトフライヤースタジオ」を選んでくれたのは、ここには自分がゲームに救われた経験があったり、誰かの人生を救いたいと考えていたりするメンバーが多く在籍し、そこに共感を得たからだと思います。
同じようにゲームづくりに情熱を感じ、全力で取り組みたいと考える人にとって、居心地の良い環境が「ライトフライヤースタジオ」にはあると思います。一緒に働けることを楽しみにしています。

ライトフライヤースタジオでは一緒に働く仲間を募集しています